亡くなって一年。内田康夫、最後の作品は短歌!初の夫婦共著。


内田康夫/早坂真紀

『愛と別れ 夫婦短歌』

四六判ハードカバー・144ページ
定価1944円(本体1800円)

ISBN 978-4-86272-613-1

痛恨の「休筆宣言」の直後、ベストセラー作家は、復活を期し、婦人の力を借り、短歌の連載を初めた。「脳活」「リハビリ」を兼ねて。

病気の悔しさ、焦り、お互いへの愛。夫婦は、ありのままの気持ちを、五・七・五・七・七の「三十一文字」に託した。

これは、285首の、短歌というラブレター。そしてずっと一緒だった夫婦の、あまりに切ない「はじめてのさよなら」

(内田康夫氏の収録作品より)

長い冬耐えて芽吹いた雑草にまだまだぼくも希望はあると

介護する妻は神か母親かときには鬼に見える日もあり

ぼくはまだ生きているのに心電図(死んでんず)折れ線グラフの今は谷底

この先をどうしようかと思いつつ途絶えたままの独り行く道

車椅子の目の位置低くなりし今見えぬものより見えるもの多し


(早坂真紀氏の収録作品より)

乳母車押したことなき我がいま車椅子押して木陰を歩く

あと一度一度でいいから抱きしめて片手でなく両手できつく

離れればなぜか恋しくそばにいれば早く逃げたい夫の荒れる日

十三でアン・シャーリーは私だと騒いだ私がまだここにいる

レンギョウをあれはヤマブキと言い張ってそのまま逝く夫の笑顔よ

収録短歌285首(内田康夫氏149首、早坂真紀氏136首)
西村京太郎氏、山前譲氏、歌人・東直子氏の書き下ろし解説付