2008年5月刊歌集

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 雨の日の回顧展  加藤治郎歌集   A5判/208頁/3150円  ISBN978-4-86272-092-4
 加藤さんの言葉にはすごくパワーがあって、幻覚、幻聴にも必然性を感じますね。裏付けのあるメタファーというか、読めばわかるじゃないですか、頭の中のイメージだけで組み立てた歌と、現実の感触を残して作っている歌と。加藤さんの場合はどれも現実の手触りを残していて、それが歌の力になっている。 穂村弘「作品季評」より 葡萄パン百の眼窩のくらぐらと療養院のゴッホの書簡
よろこびは即興にまたかなしみは細心に描くひとの心は
弟は鏡の裏の錆をいうそれはわたしのとおい砂浜
獏の腹裂くゆめをみたあかときは洪水のようなわたくしである
破裂する前の頭にみちている車輌はたまらない明るさだ
デジタルは空洞ばかりの街だろうとっぷり撓む水銀のたま
 睡蓮記  日高堯子歌集   A5判/176頁/3150円  ISBN978-4-86272-094-8
 日高作品は、根底にやさしい繊細な美意識とともに、生命の源としてのエロスの力の底ごもる強さをもってる。作者が一番緊張を解いて、ふつうの呼吸をしながらも、あえて少しく異様な感銘に心をゆだねてうたう日常、そこに何より作者の心の底にある思念や本音が湧出しているように思われる。馬場あき子「短歌研究賞」講評より 「短歌研究賞」(平19)受賞作、受賞後第一作も収録の 魅力の第六歌集

吾妻橋すぎて濃くなる人の香や 曳舟 青戸 昼の柴又
時間ふと薄わらひすることありてわれは川底の小石をひろふ
夏芙蓉を吸ひゐる永し きらめける時の震へのごとき蝶の翅
敗戦日 空また晴れて日晒しの青姦のやうな日本も見ゆ
恋力いきのこりゐて黒南風のちかづくなかを葛の花ちる
ここにかうして父母とならんで座敷ふく風聞きゐたり世の涯のごと
 中原の風  半田美永歌集   A5判/176頁/3150円  ISBN978-4-86272-104-4
中原とは黄河中流域、中国文化発源の地。自らその地に立ち、「広大な原野の中央であるとともに、そこは、人生の逐鹿の場とも見えた」と語る著者の第二歌集。 中原に降りたつ我の頬を打つ星の雫に目覚めつつをり
還暦を過ぎて中原の風を受く晩學の我に風は重たく
帰郷とは夢幻のごとし。都をば離りて夢を断たむとせしを
五十路越え戦なかりし世にありて語らぬ亡父の日日重かりし
 かちがらす  鷲崎キヨ子歌集   A5判/200頁/2800円 野火叢書  ISBN978-4-86272-095-5
平成14年「野火の会」発足以来、創立メンバーとして充実した作品を発表している著者が、故郷佐賀の県鳥「かちがらす」を集名とした第一歌集。序・八城水明 「頑張らんでよかよ 一時休みんさい」母の声する父に遅れて 
這ふ虫を外に逃しやる夫の声厨に聞けば児に言ふごとし 
故里の往還かなし呼び止むる呼び止めらるる人もあらなく 
五十年の流離なげけとや夕ぐれの樟の梢に鳴くかちがらす
 浮 雲  前川昭一歌集   A5判/256頁/2500円  ISBN978-4-86272-096-2
題名は無学祖元の偈「もし生死の事を了知せんと欲すれば須く観るべし、富貴は浮雲の若きなるを」より。傘寿を過ぎた今も実業界で重きをなす著者の『清涼』につづく第二歌集。 独り呑む酒は危ふし呑む程に佳き日の思ひ出浮かび出づれば
亡き妻宛今年も誕生日祝来ぬ妻逝きしことは承知の友より
冬の夜のシベリア飛べば一条の緋の光芒が地平線這ふ
年内に為すべき仕事残りあり観光やめて京都を発ちぬ
 神 木  大井田啓子歌集   四六判/200頁/2500円 香蘭叢書 ISBN978-4-86272-098-6
「批評性に富み、明晰でありながら一筋縄ではいかない知的な構造が、実はナンセンスな世界をも抱え込む。そこに大いなる可能性を感ずる。」千々和久幸「解説」より 卓上に時計忘れて出で来しがいつもの電車が定刻に来る
口を指し「くち」と教ふる今朝引きし紅の朱さにこだはりながら
引込み線にゐる電車のパンタグラフかしやと音して折りたたまれぬ
一年の浪人生活したる子とおなじ窓辺に机置きたり